aamall

2017年11月

2017年11月22日

Thesaurus of Patent Claim Construction

とうとう買っちゃいました。

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日本のアマゾンでは取り扱いがなかったので、アメリカから購入しました。

どんな本なのかといいますと、アマゾンに記載の説明を引用したほうが早そうなので、以下の通りです。
Claim construction is a major phase of a patent litigation where the meaning and scope of the claims themselves - the invention - is determined by the court. The outcome of this definition phase is crucial to the respective infringement and invalidity positions of the parties. The Thesaurus of Claim Construction directs practitioners to the cases in which claim terms have previously been construed, and further to the sources of the evidence used by past courts to construe the terms in dispute.
要するに、これまで訴訟などにおいて争われたクレーム内の用語の解釈を掲載しているわけです。

ちょっとだけ中をお見せしますと、こんな感じです↓

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見ていただくとお分かりの通り、解釈とケース情報が列記されているだけですので、これだけ読んでもなんのこっちゃ?です。

ケース情報をもとに実際の判決文まで読まないと理解できないわけですが、少なくともどこを見ればいいのかを示してくれているのはありがたいですね。

特許翻訳業界でまことしやかにささやかれるルールは多々ありますが、何が事実で何が都市伝説なのか、その答えを見つけるヒントになるかな~と思っております。

ちなみにこちらの書籍、ペーパーバックですが、後ろのページが透けて見えるくらいうすーい紙です。

分厚いですが、持ち上げるのが嫌になるほどの重さはないので、頻繁に調べる気になります。

あんまり重い本って、正直本棚から取り出すの面倒だな~なんて思っちゃいますからね。

それにしても、一介の翻訳者がこんなことまで調べる必要あるのかな~?とも思いますが、知らないよりは知ってるほうがいいことはたくさんありますよね。

h_a_z_u_k_i at 20:26|PermalinkComments(0)書籍 

2017年11月10日

隙間はあるの?ないの?

似たようなネタを以前のブログでも書いたような気もするのですが、大事なので二度書きます(冗談)。

日本語明細書では、それぞれの構成の効果をしつこいくらいに説明している場合がありますね。

『こういう構成だからこの問題が発生しない』と、起こらないこと、存在しないものに言及するとき、どう英訳しますか?

ある日本企業の明細書を例に考えてみましょう。

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第2発明では、仕切り部は、板状の不織布、例えば板状のフェルト素材で構成されており、回転ドラムの外周面と仕切り部の先端部とが接触するように形成されているので、仕切り部と回転ドラムの外周面との間に隙間ができず、板状の不織布にスラッジが付着することにより、スラッジが回転ドラムの両端部近傍の流路へ入り込むことがなく、回転ドラムの両端部近傍の流路において残留して堆積することを抑制することができる。
(WO2013132943A1)

In this embodiment, since the partition portion is made of a plate-like non-woven fabric, for example, a plate-like felt material and is formed so that an end portion of the partition portion comes into contact with the outer peripheral surface of the rotary drum, a gap is not formed between the outer peripheral surface of the rotary drum and the partition portion and sludge adheres to the plate-like non-woven fabric. Accordingly, sludge does not enter the flow passages that are formed near both end portions of the rotary drum. As a result, it is possible to inhibit sludge from remaining and being deposited in the flow passages that are formed near both end portions of the rotary drum.
(US20140083920A1)
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回転ドラムに関する発明で、各部材の素材と配置により『隙間』ができなくなるという効果があるらしいのですが、英訳を見てみると『隙間』はあるの?ないの?とちょっと考えてしまいます。

英文の方では "a gap is not formed" と表現されています。

"a gap" と不定冠詞が付されているということは、隙間はあるのでは?という気が。

そしてその隙間が "is not formed" とくると、、、(。´・ω・)ん?

ここは、隙間ができないということを端的に表すために、"no gap is formed" としたいところです。

原文の日本語で動詞が否定されているからといって、英訳でも安易に動詞を否定する形にしてしまうと、意味が不明瞭になる場合があります。

名詞の前に "no" をつけたり、副詞の "never" を用いて否定を表すほうが自然な場合もあるので、ちょっと考えてみたいポイントですね。

"no" を使うのはちょっと強すぎて好ましくないということであれば、"little gap, if any, is formed" なんかどうでしょう。

原文から離れすぎ?

この "if any" という挿入句、英文では割とよく使われると思うのですが、これに対応する日本語表現って何でしょう?

普段の仕事で英訳していて、限定を避けるために "if any" を入れたいな~と思う場面も多いのですが、入れちゃダメですかねぇ?

翻訳を発注したりチェックしたりする立場の方々の意見が聞きたいな~。

h_a_z_u_k_i at 22:39|PermalinkComments(0)英語表現 | 英文明細書

2017年11月08日

肯定形で否定を表す

特許翻訳の仕事をしていると、使用禁止用語がだーーっと書かれた指示書が送られてくることがありますよね。

その中に含まれる用語といえば、"necessary" "required" "essential" など限定解釈につながる可能性を持つ用語です。

また、"cannot" もよく含まれますね。

で、こういう指示書を送ってきておきながら、原文には『必要』『必須』『できない』といった表現が随所に用いられるわけです。

使ってほしくない用語があるなら、初めから原文でなんとかしろーっと思うわけですが、思ったところで状況は変わりませんし、じゃあ、原文の言わんとしていることを使用禁止用語を避けてどう表現するかを考えるわけです。

今回は "cannot" についてですが、"unable to" に置き換えるという対処法を示す会社もありますが、どうなんでしょう。

それほど差異があるようにも思えないのですが。

『できない』という言葉の意味を考えてみますと、要は『うまくいかない』『失敗する』ということなのかな?

ということは、"fail to" で訳してみる?と考えたわけです。

実際に『できない』を "fail to" で英訳している公報はあるのかな?と検索してみたところ、いくつかありました。

直近の公開公報から引用しますと、

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3.請求項1または請求項2に記載する画像読取装置において,
前記制御部は,
前記決定処理では,先端エッジと後端エッジとのうち,一方のエッジが検出できず,他方のエッジが検出できた場合に,他方のエッジを前記補正処理に用いるエッジに決定することを特徴とする画像読取装置。
(JP2016086217A)

3. The image reading apparatus according to claim 1,
wherein, in the leading edge detecting process and the trailing edge detecting process, if the controller succeeds to detect one of the leading edge and the trailing edge and fails to detect the other of the leading edge and the trailing edge, in the determining process, the controller determines the successfully detected one of the leading edge and the trailing edge to be the edge, which is used to correct the image acquired through the reading device.
(US20160119494A1)
*****************************************

また、USの方は権利化されていて、Grantのクレームは以下の通りです。

3. The image reading apparatus according to claim 1,
wherein, if the controller succeeds to detect one of the leading edge and the trailing edge and fails to detect the other of the leading edge and the trailing edge, the controller executes a repairing process, in which the controller repairs a part of the image on a side of the original sheet having the edge that failed to be detected.
(US9699339B2)
*****************************************

本件、クレーム以外の箇所でも同様の表現が用いられていて、"cannot" という表現が一切用いられていません。

特に、クレームでの "can" "cannot" の使用は好まれない場合が多いですから、こういった言い換えも良いかもしれませんね。

もちろん万能ではないですから、適宜意味を考えつつ言い換えなければいけませんが。

もう一つ、形は肯定だけど意味は否定を表す表現に "refrain from" がありますね。

こちらも、特にクレームで『~しないことを特徴とする』などと書かれているときに役立ちます。

Negative Limitationは絶対ダメというルールはありませんが、否定語を見ただけでまともに審査せずにOAを出す審査官がいるので、形だけでも肯定にしておいたほうがいいよと、ある米国特許弁護士に勧められました。

ただの言葉遊びじゃない?と思うこともありますが、クライアントの要望に応えるためには色々な言い換え表現をストックしておく必要がありますね。


h_a_z_u_k_i at 12:29|PermalinkComments(2)英語表現 | 英文明細書

2017年11月04日

受身形なのか可能形なのか

特許明細書には、よく『考えられる』『用いられる』『得られる』といった表現が登場しますが、これって受け身を表してるの?それとも可能を表してるの?と考え込むことがあります。

まず、日本語文法のおさらいをしましょう。

おそらく大半の日本人は、学校で習ったであろう日本語の動詞の活用なんて覚えていないでしょうし、覚えていなくても話せますので考えることもないでしょうね。

日本語の動詞の活用の種類には、『五段活用』『上一段活用』『下一段活用』『サ行変格活用』『カ行変格活用』があります。

五段活用の動詞の例は『作る』『思う』など、上一段活用の動詞の例は『用いる』『降りる』など、下一段活用の動詞の例は『考える』『出る』など。

サ行変格活用の動詞は『する』、カ行変格活用の動詞は『来る』です。

五段活用、上一段活用、下一段活用それぞれの受身形と可能形は、次のようになります。
  • 五段活用: 作る ー 作られる(受身形) ー 作れる(可能形)
  • 上一段活用: 用いる ー 用いられる(受身形) ー 用いられる(可能形)
  • 下一段活用: 考える ー 考えられる(受身形) ー 考えられる(可能形)
口語ではいわゆる『ら抜き言葉』が主流になっている感じはしますが、書き言葉では今なお可能形に『ら』を入れるのが主流だと思います。

ら抜きをしない場合、上一段活用と下一段活用では受身形と可能形が同じ形になってしまいます。

というわけで、形を見ただけでは、受け身を表しているのか可能を表しているのかが明確ではないんですよね。

日本企業の米国公開公報を見ていると、『考えられる』が"It is considered"と訳されているのを割と頻繁に見かけるます。

しかし、原文を読むと、この『考えられる』は受け身の意味ではなく可能の意味で『~であると考えることができる』と言っているのではないのか?と思うことがあります。

『考えられる』が多用される明細書って、個人的には好きじゃないんですよね~。

でも、出願する側としては断定したくはないんだろうな~などと考えながら、受け身か?可能か?と逐一考えながら翻訳しております。

余談ですが、『考えられる』の翻訳は嫌いなくせに、翻訳コメントには『これ間違ってるよっ!』をやんわりと伝えるために『考えられる』『思われる』を多用してます(*・ω・)ノ


h_a_z_u_k_i at 15:47|PermalinkComments(0)日本語 

2017年11月03日

インボイス制度の影響を考える

『インボイス制度』(公的には適格請求書等保存方式というらしいです)が平成35年10月1日から導入されるらしいです。

インボイス制度とは、納入先に『適格請求書』を発行しなければいけないという制度のようです。

詳しいことまで理解していないので、伝聞・推量の助動詞が多くてすみません。

政府広報オンラインによりますと、
  • 適格請求書発行事業者の登録を受けた課税事業者のみ「適格請求書」の発行が可能になりますので、免税事業者は「適格請求書」の発行はできません
  • 「適格請求書等保存方式」の導入後は、適格請求書等の保存が仕入税額控除(仕入先に支払った消費税相当額を差し引く)の要件の1つとなります。
  • 免税事業者は適格請求書等を交付できないため、免税事業者からの仕入れについては、仕入税額控除することはできません
つまり、納入先が仕入税額控除を受けるためには適格請求書を受け取る必要があるが、免税事業者は適格請求書を発行することができない。

ということは?

今と同じように消費税額を記載した請求書を送っても、受け取る側の取引先としては、記載された額の消費税を払ってもその分の税額控除が認められなくなるってことですよね?

となると、免税事業者に消費税を支払うと損をする?

じゃあ、免税事業者には消費税を支払わないとか、免税事業者との取引をやめるって発想になりません?

免税事業者の私は、どうしたらいいの?

対応策としては、頑張って稼いで課税事業者になる。

いやいや、頑張るってのは具体的な対応策じゃありませんから。

法人化する?

これは考え中。

とりあえず、フリーランス問題に詳しそうな税理士さんに相談してみる。

まずはここからかな。

知らないことには対処できないですから。

ところで、翻訳会社って外注してる翻訳者はだいたいが免税事業者ですよね、多分。

翻訳会社では、インボイス制度導入について何か検討を始めているんでしょうかね。

その辺の情報が、業界誌などを見ても全然触れられていないように感じるのですが。

直前になって突然翻訳会社主催の説明会に来いとかって言われるパターン?

それにしても、『働き方改革』なんて言いながら、こじんまりと個人事業主として働いている人には不利な制度が増えそうですね。

以前フリーランスを独禁法で保護するなんて話も出てましたが、それよりも下請法の罰則を強化して悪徳事業者を成敗するとか、労働基準法を改正してフリーランスの労働環境改善につなげるとかしてくれないかな~(´・ω・`)


h_a_z_u_k_i at 16:45|PermalinkComments(0)お金の話