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2017年12月

2017年12月28日

フリーランスになって5年

5年前、派遣の仕事を辞めたときは、本当にフリーランスで食べていけるのかな~?と不安はありましたが、普通に食べていけてます。

さて、今年もあと数日で終わりですので、まとめ的な記事も書いておきましょうね。

まず、売り上げはと言いますと、昨年比101.4%と微増。

納品したワード数の合計は昨年より2%ほど減っているので、平均ワード単価は微増。

なんといいますか、何も取り立てて書くこともない結果です。

しかし、今年は新規開拓しました。

秋以降に新たに特許事務所2つと契約が成立し、すでにお仕事もいただいてます。

契約したけど放置されてる事務所もあるのでちょっと心配してはいましたが、とりあえずは大丈夫そうですね。

切られないように、きちんとした成果物を納品したいと思います。

今回の新規開拓について少々追加しておきます。

仕事に困っているわけではないのですが、良い事務所があれば是非と日頃から探しています。

応募先を選択する際、単価が良いということだけではなく、その事務所がどういう翻訳を求めているのか、翻訳に対する考え方が大事だと思っています。

特許事務所との直取引を模索し始めた2年前は、単価だけに目を向けていましたが、それだけじゃないなと思えるようになったのは、フリーランスとして成長したのかな?

今年は、是非一緒にお仕事がしたいと思える事務所を2つ見つけることができ、その両方と実際にお仕事が始められて、良い年でした。

来年は、新規開拓した事務所との安定したお付き合いが目標ですね。

来年納期の案件もすでに複数抱えていて、年末年始も休みはなしです。

でも、単なる言葉の置き換えではなく、色々と工夫を求められる翻訳は、やってて楽しいですよ。

ときには『こんなひどい原文でどうしろってんだーっ!!!』って言いたくなるのもありますけどね。

そんな時には、ツイッターで一句。

h_a_z_u_k_i at 19:55|PermalinkComments(0)仕事 

2017年12月22日

回転可能に支持する

機械分野の案件では『回転可能に支持する』という表現がよく用いられますよね。

早速、公開公報の例を見ていきます。

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【原文】
第一支持突部12の径方向外側に、第一支持軸受61が配置されている。この第一支持軸受61は、円筒状部材3を径方向内側から回転可能に支持する軸受である。(WO2012105482A1)

【英訳】
The first support bearing 61 is disposed radially outward of the first support projecting portion 12. The first support bearing 61 is a bearing that rotatably supports the cylindrical member 3 from the radially inner side. (US20130283972A1)
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文字通りと言いますか、"rotatably supports" と訳されていますね。

しかし、この英訳での "rotatably" という副詞は何を修飾しているのでしょう?

文法上は "supports" という動詞を修飾していますよね。

とすると、回転可能なのは軸受?それとも円筒状部材?

技術の常識から考えれば円筒状部材でしょうが、文法上は軸受が回転可能ということになります。

ここでは、各部材の用途から考えれば解釈に問題はないかもしれませんが、どちらが回転してもおかしくない組み合わせの場合はそうはいきません。

どちらが回転可能なのか、文法的に明確にする必要があります。

ちなみに、"A is rotatably supported by B." のように受動態である場合には、回転可能なのも支持されるのも主語である "A" ですから、解釈の問題は発生しませんね。

原文の内容と合っていればですよ。

では、最初の問題に戻って、回転するのが円筒状部材であることを明確にするには、どう訳せばいいのでしょう。

Google Patents で色々検索してみますと、いくつか参考にできそうな明細書を見つけました。

例えば、

The clamping or bracketing device may be any type of clamp, bracket, frame, fastener or support that retains the cylindrical target 12 in position while allowing for its rotation by the motor assembly 15. (US20060272174A1)

これを真似て挿入句で表現してみると、

The first support bearing 61 is a bearing that supports the cylindrical member 3, while allowing for its rotation, from the radially inner side.

いっそのこと " is a bearing that" を取っ払うと、

The first support bearing 61 supports the cylindrical member 3, while allowing for its rotation, from the radially inner side.

どうなんだろう。

色々考えてるうちに、分かりやすいのか分かりにくいのか、分からなくなってきました(´・ω・`)

こういう時に誰かの意見をすぐにもらえないっていうのが、フリーランスのデメリットですね。

というわけで、意見求む。

h_a_z_u_k_i at 23:41|PermalinkComments(8)英語表現 

2017年12月09日

"on the basis of" と "in accordance with"

最近担当した案件数件続けて『~に基づいて』という表現の使い方が気になりました。

実際の案件を引用することはできませんので、公開公報から似たような使われ方をしているものをいくつか引用します。

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<引用1>
【原文】CPU111の制御に基づき測定部113は、ノードN3の電圧を測定する。(WO2009157342A1)

【英訳】Measurement unit 113 measures the voltage at node N3 based on control by CPU 111.(US20110107123A1)

<引用2>
【原文】前記制御部は、前記第1調整指示に基づいて前記入出力電力を制御し、前記第2調整指示に基づいて前記蓄電量を制御する(JP2010226942A)

【英訳】the controller controls the input/output power on the basis of the first adjustment instruction, and controls the power storage amount on the basis of the second adjustment instruction.(US20100217453A1)
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上記の引用にもみられるよう、『~に基づいて』とくれば、機械的に "on the basis of" "based on" と訳されがちです。

"on the basis of" と "based on" のどちらを使うかは、各々の信念によるところがありますので、以下では "on the basis of" を使うものとして話を進めますね。

"on the basis of" って、そもそもどういう意味?

Oxford Dictionaries で "basis"  を引きますと、以下のように説明されています。

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basis: The justification for or reasoning behind something

例文を見てみますと、
  • As a matter of fact, it is not possible to justify this attack on the basis of international law.
  • We try to figure out what is so, reasoning on the basis of what we already know.
  • It's about time this issue was discussed rationally on the basis of the facts.
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つまり、判断の根拠を示すわけですね。

しかし、上述の引用を見てみますと、『
制御に基づき~測定する』『調整指示に基づいて~制御する』と、判断の根拠を示す意味では使われていません。

このような意味で使われている『~に基づいて』という表現は、"in accordance with" と訳された方が適切なのではないでしょうか。

またまた Oxford Dictionaries で "in accordance with" を引いてみますと、以下のように定義されています。

***************************************
in accordance with: In a manner conforming with

例文を見てみますと、
  • Part of the deck was required to be removed in accordance with building regulations.
  • It must be carried out in accordance with the plans lodged in the granting of the application.
  • The bear was passed to the museum, with a copy of Miss Doherty's note, in accordance with her wishes.
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動作のもとになるルールであったり、従うべきものを示すわけですね。

特許明細書で度々使われる『~に従って』という表現の訳に用いられることも多いかと思います。

特許翻訳には定訳があると言われることもありますが、単純に『この表現はこう訳す』ではなく、動作と名詞との関係性を考えつつ、都度適切な訳を選択する必要がありますね。

何はともあれですね、特許明細書では『~に基づいて』という表現が安易に使われすぎだと思うのです。

と、一番言いたかったのはこれ。


h_a_z_u_k_i at 15:13|PermalinkComments(0)英語表現 

2017年12月03日

訳語選択の根拠をどこに求めるか

訳文で用いる表現に関しては、なぜそう訳したのかが説明できる必要があります。

その訳が適切であるといえる根拠ですね。

実際には、すべての訳語の根拠を説明するのは難しいのですが、悩んで、調べて、また悩んで訳出した箇所についてはたいてい根拠があります。

よく、訳語を選択する際に裏を取ることが大切といいますが、根拠をどこに求めるかによって、結果は違ってくるかと思います。

特許翻訳を例にもう少し具体的なお話をしますね。

特許翻訳の場合、以前に翻訳された案件は、公開公報を調べることで何がどう訳されたのか知ることができます。

原文のあるフレーズをどう訳そうか?と悩んだとき、過去に出願された類似案件や同一出願人の案件を見てみるというのは、特許翻訳者なら皆さんすることでしょう。

しかし、過去の翻訳で使われている訳語が必ずしも適訳であるという保証はありません。

公開されているということは、出願人が一度は確認した訳なのだから適訳なのでは?と考えることも可能ですが、確認していないケースも多々ありますよね。

出願人企業の中にいた経験からの見解ですが。

OAが来た時に初めて『なんだこの訳は???』となる場合もあります。

そういう可能性も踏まえて、『公開公報に載っていた』は訳出の根拠としては十分とは言えません。

私自身は、過去に翻訳された公開公報で見た表現からヒントを得ることはありますが、そこで見つけたものをそのまま使うということはしません。

そもそも、過去の訳文を持ってきて使いまわすだけなら、機械翻訳のほうがお得意でしょうし、そういう取り組み方で翻訳をしていたのでは、いつか淘汰されると思っています。

訳出の根拠を求めて私が参照するものは、米国企業の出願明細書、英語圏で発行される技術書、学会誌などです。

初めから英語で書かれたものから根拠を探すわけですが、日英の対訳があるわけではありませんから、対応する訳語を探すということはできません。

まずは日本語原文の言わんとしていることを整理し、自分なりにそれを英語で表現してみます。

そしてその英語表現が、上で述べたような文書の中で、自分が意図した意味で使われているかを見ていきます。

これが、英訳の際に私が実際にしている裏取り作業の一部です。

この裏取り作業の前提となっているのは、原文を読んで理解した内容を、自分の中に蓄積された英語を用いてある程度表現できるということです。

そのためには、初めから英語で書かれた技術文書、法律文書、一般文書などから大量にインプットし、アウトプットの練習を経て『知っている』から『使える』のレベルに持っていくことが必要です。

そのためには、まずは洋書をたくさん読む。

技術に関する知識、英語に関する知識、特許に関する知識など、自分の中に蓄積された知識量を増やすことが、翻訳スピードや品質の向上につながるのではないかと思います。

たまに、ツールの導入で効率アップとか品質アップとかって話を聞くと、そこじゃないだろう…って思うんですよね。

h_a_z_u_k_i at 23:34|PermalinkComments(0)仕事