aamall

2017年12月03日

訳語選択の根拠をどこに求めるか

訳文で用いる表現に関しては、なぜそう訳したのかが説明できる必要があります。

その訳が適切であるといえる根拠ですね。

実際には、すべての訳語の根拠を説明するのは難しいのですが、悩んで、調べて、また悩んで訳出した箇所についてはたいてい根拠があります。

よく、訳語を選択する際に裏を取ることが大切といいますが、根拠をどこに求めるかによって、結果は違ってくるかと思います。

特許翻訳を例にもう少し具体的なお話をしますね。

特許翻訳の場合、以前に翻訳された案件は、公開公報を調べることで何がどう訳されたのか知ることができます。

原文のあるフレーズをどう訳そうか?と悩んだとき、過去に出願された類似案件や同一出願人の案件を見てみるというのは、特許翻訳者なら皆さんすることでしょう。

しかし、過去の翻訳で使われている訳語が必ずしも適訳であるという保証はありません。

公開されているということは、出願人が一度は確認した訳なのだから適訳なのでは?と考えることも可能ですが、確認していないケースも多々ありますよね。

出願人企業の中にいた経験からの見解ですが。

OAが来た時に初めて『なんだこの訳は???』となる場合もあります。

そういう可能性も踏まえて、『公開公報に載っていた』は訳出の根拠としては十分とは言えません。

私自身は、過去に翻訳された公開公報で見た表現からヒントを得ることはありますが、そこで見つけたものをそのまま使うということはしません。

そもそも、過去の訳文を持ってきて使いまわすだけなら、機械翻訳のほうがお得意でしょうし、そういう取り組み方で翻訳をしていたのでは、いつか淘汰されると思っています。

訳出の根拠を求めて私が参照するものは、米国企業の出願明細書、英語圏で発行される技術書、学会誌などです。

初めから英語で書かれたものから根拠を探すわけですが、日英の対訳があるわけではありませんから、対応する訳語を探すということはできません。

まずは日本語原文の言わんとしていることを整理し、自分なりにそれを英語で表現してみます。

そしてその英語表現が、上で述べたような文書の中で、自分が意図した意味で使われているかを見ていきます。

これが、英訳の際に私が実際にしている裏取り作業の一部です。

この裏取り作業の前提となっているのは、原文を読んで理解した内容を、自分の中に蓄積された英語を用いてある程度表現できるということです。

そのためには、初めから英語で書かれた技術文書、法律文書、一般文書などから大量にインプットし、アウトプットの練習を経て『知っている』から『使える』のレベルに持っていくことが必要です。

そのためには、まずは洋書をたくさん読む。

技術に関する知識、英語に関する知識、特許に関する知識など、自分の中に蓄積された知識量を増やすことが、翻訳スピードや品質の向上につながるのではないかと思います。

たまに、ツールの導入で効率アップとか品質アップとかって話を聞くと、そこじゃないだろう…って思うんですよね。

h_a_z_u_k_i at 23:34│Comments(0)仕事 

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